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第45話 王都からの視線

last update publish date: 2026-09-20 10:59:58

 王都ルーメルンでは、春季祭礼の余韻がまだ残っていた。

 余韻、と呼べば聞こえはいい。

 だが実際には、甘い香の下に焦げた匂いが混じっているような、どこか居心地の悪い空気だった。

 祭礼そのものは終わった。

 式次第も、祈祷も、王族の挨拶も、大きく崩れたわけではない。

 けれど、王城で働く者なら誰でも気づいていた。

 今年の祭礼は、いつものようには回らなかった。

 菓子は数が足りず、いくつかの席では配られる順番が変わった。

 贈答品の差し替えは直前まで続き、商会の代表者たちは笑顔のまま微妙に距離を取った。

 貴族二家の席次を巡る不満は表では抑えられたが、廊下では冷たい言葉が交わされた。

 どれも、王国を揺るがす大事件ではない。

 だが、小さな綻びが多すぎた。

 第二王子ルシアンは、書庫の奥で祭礼記録を閉じた。

 机の上には、今年の記録と過去三年分
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